2019年12月17日

スナックやキャバクラでの無許可営業

スナックやキャバクラでの無許可営業

風営法許可申請の仕事をしていると、
『無許可でスナックを営業してたら警察の指導が入っちゃったので、今から申請したいんだけど・・・』
という相談を受けることがあります。
先輩行政書士にお話しを聞いてみると、結構よくある事例のようです。

今回相談を頂いた方はたまたま警察の注意のみで済んだようですが、全ての店舗がそれで済むとは限りません。どういう処分をするかは警察の匙加減であり、悪質と判断されれば一発取り消しも十分に考えられます。

ところで、風営法無許可営業の違反が発覚した場合、どのような処分が下されるかはご存知でしょうか。

とその前に、スナック・キャバクラバーの違いについて、ざっくりと説明します。

●スナック・キャバクラ等
特定のお客様に対し、客の近くに侍りながら”談笑の相手”、”カラオケを一緒に唄う”、”お酒をお酌する”等の接待を伴う営業。
上記のような行為はカウンター越しであっても接待と判断される。
深夜0時までしか営業できない。
飲食店営業許可風営法1号許可の両方の申請が必要。

●バー
接待を伴わず、客の求めに応じてお酒等を提供する営業で、風俗営業にはあたらない(一緒にカラオケを歌ったり一緒にゲームを行ったりすれば接待とみなされ、バーとは判断されず風営法1号許可申請が必要)。基本的に飲食店営業許可を受ければ営業できるが、深夜0時以降も営業したいのであれば、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要

スナックやキャバクラの営業形態では、現在の法律では深夜0時以降は営業できません。しかしながら、現実深夜0時以降も営業を行っているスナックやキャバクラはよく見かけます(というか、ほぼそうでしょう)。厳密にいえばこれらは全て違法営業ということです。

スナックやキャバクラでの無許可営業

それでは本題。風営法違反があった場合の、代表的な罰則を紹介します。

2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれの併科

・無許可でキャバクラやスナックを営業した
・名義貸しをした
・営業停止の処分を受けたのに、それに違反して営業した

上記の行為は風営法のなかでも最も重い罰則です。「懲役・・・罰金・・・の併科」とは、懲役と罰金の両方が科されるということです。
警察は定期的に巡回していますので、こうしたお店のことも実はよく把握しています。したがって指導が入る前に(警察の愛情があるうちに)対策をとらなければ、取り返しのつかないことになってしまいます。
名義貸し(他人の名前や資格で許可申請すること)や、営業停止処分を受けたあと、「ちょっとだけなら営業しても大丈夫でしょ!」といって処分期間中に営業してしまうといったことも、ちょっと油断するとやってしまいそうな行為ですが、営業停止処分を受けた時点で警察からマークされているので、絶対にやってはいけません。すぐにバレてしまいます。
もしこれらの行為が発覚して逮捕されると、風営法の欠格事由に該当することになり、現在許可を取っている場合はその取り消し、さらにその後5年間は新規で許可の申請をすることができなくなります。もちろん、それに加えて2年以下の懲役や200万円以下の罰金も加えて科されることになるのです。

1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれの併科

・営業所の構造または設備を、承認を受けずに変更した
・18歳未満の者に客の接待をさせた
・18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせた
・20歳未満の者に酒類、たばこを提供した

特に注意してほしいのは、20歳未満の者に酒類、たばこを提供したという項目です。18歳以上だからといって入店させたものの、20歳以上でなければ酒類・たばこの提供はできません。つまり年齢確認は『18歳以上・20歳以上』という2重のチェックが必要ということです。
また営業所の構造や設備の変更(大規模な内装工事だけでなく、例えば椅子やテーブルの配置を変更したり、音響設備の変更をしたりといった行為も変更にあたる)をした場合も変更届が必要になります。
もちろんこれらの行為で逮捕された場合も、風営法の欠格事由に該当してしまうことは言うまでもありません。

6ヵ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれの併科

・客引き行為を行った
・客引きの為に立ちふさがったり、つきまとい行為をした

これも当たり前のように行われていますが、よく注意する必要があります。

100万円以下の罰金

・従業者名簿を備え付けなかった、必要な記載をしなかった、虚偽の記載をした
・警察職員の立ち入りを妨害した

従業員名簿の備え付け義務を知らなかったという経営者の方も結構多いのではないでしょうか。店長やボーイさんだけでなく、女の子の名簿も必要ですし、辞めたあとも3年間の保管義務があります。風営法は人の部分を非常に重視しているのです。

50万円以下の罰金

・許可申請書や添付書類に虚偽の記載がある
・管理者を選任しなかった
・深夜における酒類提供飲食店営業を無届出でおこなった

ここで深夜0時以降に営業するバーの罰金規則が出てきます。例えば深夜酒類提供飲食店営業を取らない状態でバーを営業していて、たまたま深夜0時を過ぎてしまったという場合でも、警察の指摘があれば罰金が科されることになります。許可を取っていれば堂々と営業できますので、取得しておくことが無難でしょう。

その他30万円以下の罰金10万円以下の過料などの処分がありますが割愛します。

スナックやキャバクラでの無許可営業
いかがでしたでしょうか。

もし風営法違反で罰則を受け欠格事由に該当してしまった場合、その後5年間は風俗営業を営むことができなくなることを意味し、それはもうこの業界では死刑宣告を受けたといってもいいかもしれません
そんなリスクを背負いながら毎日ヒヤヒヤして営業するよりも、風営法許可を取得し堂々と営業することが健全です。

これからスナックやキャバクラを経営したいという方はもちろん、現在無許可で営業をされている方も、必ず風営法1号営業許可を取得して下さい。
なお、申請から許可取得まで、50日以上かかるのが普通です。現在無許可で営業をされている方が改めて風営法1号許可を取得しようとした場合、もちろんこの許可取得までの約2ヵ月間は営業ができなくなります。だからといってそのまま無許可で営業することは絶対にやってはいけないことです。もし近くに知り合いの経営者がいるのであれば、事情を話し一時的に女の子やボーイさんを預かってもらい、許可を取得してから改めて呼び寄せるなど、いくつか方法は考えられると思います。

ボーイさんや女の子が安心して働ける環境を整えてあげるのが、オーナーとしての一番の義務ですよ!


※知り合いにスナックやキャバクラ、又はバーのオーナーさんがいらっしゃるという方は、ぜひこの記事を見せてあげて下さいね。


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Posted by 行政書士金城勇事務所 at 16:09│Comments(0)風俗営業許可申請BAR・居酒屋の出店
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